JTI 主催:7・3特別講演会:共通番号実施でどうなる企業業務や税理士業務

共通番号実施でどうなる企業業務や税理士業務
~ダダ漏れ必至の危ないマイナンバーを問う

 石村耕治(JTI代表/白鷗大学教授)

●日時: 2015年7月3日(金)午後6:00~8:30
●場所: 東京税理士会豊島支部会議室(受付5:30~)

〒171-0021 東京都豊島区西池袋3-30-3 西池本田ビル3階
《JR池袋駅西口徒歩7分程度》 TEL: 03-3981-4585

●資料代:JTI会員 1,000円、非会員2,000円 (どなたでも自由に参加できます)
 
●予約先: JTI事務局 info@jti-web.net 用件名:「共通番号講演予約」 
*当日配付できる解説資料は数に限りがあります。資料の確実な入手を希望する方は、予約をおすすめします。

【レクチャー骨子】 
・国民のプライバシーのトータルな公有化/国家管理をめざす国民総背番号制である共通番号制は、どんな仕組みなのか?

・人生80年超の時代、ハッカー対策から頻繁にパスワードを変えるように求められる時代に、生涯変わらない個人番号(マイ ナバー)というパスワードを使わせようという愚策

・通知カードとは?IC仕様の個人番号カードの危険な使われ方

・年金機構の年金情報大量流出事件の危険な使われ方~真の問題は386万の民間事業者の8割以上が「マイナンバー対応不能」 状態にあること

・ 国家の国民総背番号管理政策の総動員される民間事業者や専門職の重荷の現実とは〜IT業界が2〜3兆円の「マイナンバー 特需」とは、“外部不経済”そのもの

・中小企業や個人事業者に重荷、年末調整を廃止し全員確定申告、事業者番号(雇用主番号)の新設などを提言する〜事業者 (雇用先)に必要以上に役員や従業者の家族の個人番号を保有・蓄積させない政策の必要性

・高税率での天引徴収、個人番号の不提示を認める税制の必要性

・個人番号(マイナンバー)は、「ダダ漏れ必至」、やがては「なりすまし犯罪ツールになる」といわれるのはなぜか?解決 策は?

・「国民のための税理士」をPRする税理士会は、危ない共通番号を黙認し、税務署のお手伝いさんに徹することでよいの  か?~関与先の事業者は、「事業者をまったく護ろうともしない」ふがいない税理士会に怒っている!

・安心/安全を「システム」ではなく、「厳罰」や「第三者機関による監視」で確保しようとする愚策。賢人の防備策を考え  る。

今回の講演では、事業者の共通番号取扱実務を中心に、できるだけ分かりやすく解説します。 JTI会員、非会員を問わず、市民や専門職、どなたでも参加できます。

◆東京税理士会豊島支部アクセス地図 

http://townpage.goo.ne.jp/scroll.php?matomeid=KN1300060500653967

カテゴリー: blog

二重課税とは何か

石村耕治 著     二重課税とは何かpdf-icon
 
 「二重課税」とは多義的な不確定概念である。インターネットの出現により、これまでの国境の存在を前提とした「現実空間」取引にかかる二重課税の概念が、急激に陳腐化してきていることは否定できない事実である。インターネットとパソコンで結ばれる国境(州境)の存在を前提としないあるいは国境(州境)越えの「電脳空間」取引全盛の時代を迎え、新たな二重課税の概念を構築する必要性も増してきている。
 そもそも電子商取引には課税すべきなのかどうかが問われている。「課税なければ、二重課税も発生しない」からである。また、電子商取引にかかる税源は、各国が分捕り合戦を繰り広げるのではなく、超国家的な課税(supernational taxation)を実施し、いわゆる「国際連帯税(global tax fund)」としてプールしシェアしあうべきであるとする主張もある。こうした主張に従うと、電子商取引にかかる税源は、二重課税の対応的調整/排除というよりも、「国家間配分(intercountry distribution)」が重い課題になる。
 また、二重課税を比較法的精査する場合、日本のような単一国家の場合と、アメリカのような連邦国家、さらにはEU(欧州連合)のような国家連合体との間には統治機構の仕組みに大きな差異があり、この点を捨象して考察するのは、不完全な分析にならざるを得ないことに留意すべきである。加えて、実定税法の枠内で議論される二重課税と、学問上ないし財政学で議論される二重課税の概念は必ずしも同一ではないことも織り込んで考える必要がある。
 近年、わが国では、二重課税を理由とした税務訴訟が散見されるようになってきている。しかし、司法も、行政も、そして納税者も、そもそも〝二重課税とは何か〟についてさほど深く踏み込むことなく、審理が展開され、判決というかたちで公定解釈を確立させてきている。ただ、国民・納税者が納得できる概念を定立したうえで的確な裁断が下されなければ、いわゆる〝言葉の遊び〟が闊歩することにもなりかねない。
 二重課税についての法解釈のあり方も問われている。二重課税に対応する実定規定がないのにもかかわらず、二重課税にあたる処分を受けた納税者が、争訟において救済を求めたとする。この場合、行政(不服審査機関)や司法(裁判所)は、課税要件法定主義を尊重し、かつ、伝統的な税法解釈〔文理解釈(literal interpretation)〕に基づき裁断すべきなのであろうか。あるいは、課税要件法定主義よりも〝公平な税負担(equity in tax)〟を優先させる見地から、司法積極主義ないし目的論的税法解釈論を展開し、当該処分を裁断すべきなのであろうか。
 これまで、「租税回避」については多角的に検証されてきている。一方、「二重課税」についてはさほど真摯な検証がされず、いまだ課題が山積している。事例によっては、「租税回避」と「二重課税」とを表裏一体で精査する必要性が高い。それにもかかわらず、個別に検討され、整合性のない裁断が下されている。「租税回避」と「二重課税」とを表裏一体で検証を重ねる必要性が高い。

《論文内容目次》
◆はじめに
I 二重課税の所在と対応的調整/排除を必要とする根拠
1 二重課税の対応的調整/排除を必要とする根拠
2 税法解釈論の展開と二重課税にあたる不利益処分事案の所在
(1)わが国における二重課税にあたる不利益処分とその法的効果
(2)税法解釈についての国際比較
  ①わが国における伝統的な税法解釈論
  ②英米における伝統的な税法解釈論
(3) 目的論解釈に傾斜する現代司法
  ①司法積極主義と目的論的解釈論の展開
  ②わが国における目的論的税法解釈論の展開
II 国内二重課税の類型と対応的調整/排除策
1 発生原因から見た国内二重課税の類型
2 多重賦課と対応的調整/排除策の是非
III 法的二重課税と経済的二重課税とは
1 経済的二重課税における法人擬制説と法人実在説の立ち位置
(1)アメリカ連邦税制における経済的二重課税の考え方
(2)わが所得課税における経済的二重課税の考え方
2 事業体の法形式の選択にかかる二重課税問題の所在
(1)パススルー課税と導管課税
(2)わが国における「みなし個人」課税制度の是非
  ①わが国での〝法人〟概念
  ②国税課税関係における「ハイブリッジ事業体」とは何か
(3)経済的二重課税か、租税回避か
(4)所得課税にかかる限界事例か、消費課税にかかる限界事例か
3 事業体の法形式の選択にかかる限界事例の分析
(1)アメリカにおけるパススルー課税とは
  ①パススルー課税の選択適用のある法人の比較
  ②S法人適格の審査制度から届出制度への転換
  ③C法人からS法人への転換に伴う二重課税回避防止措置
(2)ハイブリッド事業体に対するパススルー課税の適否
  ①LLC形態のハイブリッド事業体に対する所得課税面での二重課税が争われた事例
  ②LPS形態のハイブリッド事業体に対する所得課税面での二重課税が争われた事例
  ③問われる法人格の有無に傾斜して所得課税取扱を決めるルール
  ④外国パススルー事業体への投資にかかるもう一つの国際二重課税問題
(3)任意組合と組合員にかかる二重課税事例
  ①任意組合と組合員にかかる所得課税面での二重課税事例
  ②任意組合と組合員にかかる消費課税面での二重課税事例
3 留保金課税は経済的二重課税か
(1)わが国の特定同族会社に対する留保金課税
(2)アメリカの留保金課税
(3)アメリカのS法人に対する含み利得課税~二重課税回避防止課税
  ①含み利得課税制度のねらいは「二重課税回避防止課税」
  ②含み利得課税制度導入の背景
  ③含み損益の認識の時期
(4)アメリカのパートナーシップに対する含み利得課税回避対応策
IV 国際二重課税の類型と対応的調整/排除策
1 国際二重課税への対応的調整/排除策
(1)伝統的な国際二重課税への対応的調整/排除策
(2)電子商取引にかかる国際二重課税への対応的調整/対応策の必要性
  ①典型的な電子商取引/ネット取引の類型
  ②有形資産の国際電子商取引にかかるアマゾン事案の分析
(3)国際電子商取引にかかる「所得課税」と二重課税の排除
  ①国際機関OECDでの検討
  ②連邦国家アメリカでの動向
(4)国際電子商取引にかかる「消費課税」と二重課税の排除
  ①国際機関OECDの基本方針
  ②国家連合体EUの基本方針
  ③単一国家イギリスでの2002年EU/VAT指令の施行
2 連邦国家アメリカでの州際二重課税への対応策
(1)アメリカにおける「消費課税」法制の現状
  ①売上税と使用税とは何か
  ②州外小売事業者への消費課税と州内での物理的存在の有無
  ③アメリカにおけるサービスにかかる消費課税
  ④ネット配信サービスを通じた取引にかかる消費課税 
(2)アメリカでの電子商取引にかかる消費課税の適正化の動き
  ①実施された電子商取引にかかる消費課税の適正化策
  ②連邦のインターネット・アクセス料への課税禁止法の所在
(3)連邦法先占の法理とは
(4)〝アマゾン課税〟をめぐる訴訟の分析
  ①ニューヨーク州のアマゾン税法をめぐる訴訟の分析
  ②イリノイ州の〝アマゾン税法〟 をめぐる訴訟の分析
(5)連邦市場公正法の所在
(6)巨大ネット通販小売事業者アマゾンの変節
3 単一国家日本での対応策
(1)わが国での国際電子商取引課税のあり方
(2)無体財産/無形資産の電子商取引への課税の適正化
(3)実効的な徴税は未知数
◆むすび

規制緩和時代の私立大学運営と税財政法務

石村耕治 著     規制緩和時代の私立大学運営と税財政法務pdf-icon     
 
 「私学助成(補助金)」は、私学運営において重い役割を演じている。ただ、現在の国家財政状態などを勘案すると私学助成の大幅な拡充は望み薄であろう。また、現行の私学助成(補助金)のあり方は、私大財務の自律確保の面で問題も少なくない。とりわけ、私学助成(補助金)を規制ツールに使った私大に対する政府規制は加重である。近年の政府規制緩和の動き、大学の自治や大学財務の自律などの視点を織り込んで考えると、今以上に国家からの私学助成の依存する大学運営には慎重を期す必要がある。
 私立大学の財務運営の自律を考える場合、市場主義・市場原理の活用や税制支援の拡充なども視野に入れて、自助努力で大学運営費調達源の多様化の途を探り、学校法人の帰属収入ないし消費収入に占める経常費補助金への依存度を下げるのも一案である。仮に財テクを駆使し資金源を金融収益に求めることを広く許容するとした場合、緩和された政府規制に代わる自主規制の仕組みが求められる。もちろん、アメリカに見られるように、教育機関をはじめとした非営利公益法人一般に適用ある資金の慎重運用に関するさまざまな基準を法定するのも一案である。しかし、私大連盟のような機関が、現行の学校法人会計基準とは別途に、財テク時代にあった法人資金の慎重運用基準を自主的に定める途を選ぶ方が政府規制緩和の時代にマッチしているといえる。
 また、教育関連の税制支援(タックスインセンティブ)の拡充を検討する場合には、大学法人に対する「機関支援」はもとより、もっと教育研究サービスの提供を受ける側、つまり大学法人から見れば最大のステークホールダーである学生等やその保護者などの「利用者支援」を強化する視点が求められる。
 大学などを運営する学校法人の設立準拠法は私立学校法である。同法は、「社団」ではなく、「財団」をイメージしたかたちで法人制度を構築している。言い換えると、理事会が学校運営の最高の意思決定機関であり、学生や教職員は最大のステークホールダー(利害関係人)でありながらも、学校運営には直接かかわれない仕組みになっている。  
 たしかに、学校法人は、毎会計年度終了後2ヵ月以内に、財産目録、貸借対照表、収支清算書、事業報告書および監査報告書を各事務所へ備えておき、在学生その他のステークホールダーから請求があった場合には、正当な理由がある場合を除き、閲覧させる仕組みになっている(私立学校法47条、66条関係)。最近は、これらの財務情報をインターネットで公開する大学法人も多い。しかし、これは運営結果を開示する仕組みに過ぎない。こうした現行の学校法人制度を前提とする以上、ステークホールダーは、大学運営に異論がある場合などには、法人制度外の争訟手続ないし司法手続を通じて、学校運営への参加することを検討せざるを得ない。したがって、ステークホールダー(利害関係人)、すなわち、教職員や学生、生徒ないし児童(学生等)、さらには学生等の保護者、卒業生(alumni)など寄附金の出捐者、奨学金提供者、債券購入者など、を参加させたかたちで“私大財務の自律”を確保できる法制や手続のあり方を探る必要がある。この場合、立法政策的な視点も含めて精査する必要がある。
 以上のように、大学運営資金調達方法の多様化の途を探ることは、たんに自前の運営資金確保ないし拡大をねらいとすることのみならず、私立大学の財務運営を、これまでの補助金をツールとした政府規制に代えて大学のステークホールダーにゆだねる方向性を探ることにつながる。また、税金で賄われている私学補助金の使途について、とりわけ国税の納税者(国民)からの異論も反映させられる途を拓くことも財政法学上の重い課題である。
 もう一つ、私学助成(補助金)が私学への規制ツールと化している現状を変えるには、現行の機関補助の仕組みから利用者補助(教育バウチャー)の仕組みに変える途の選択も考えられる。この選択により、私学補助金を通じた大学法人に対する政府規制が緩和され、私立大学財務の自律を促す方向につながるのかなどは、とりわけ精査すべき重要な課題といえる。ただ、箸の上げ下げまで言われる現在の過重な政府規制のもとでの私大の運営のあり方に疑問すら持たない大学人がマジョリティを占めているのも現実である。また、大学設置基準等の存在が、いわゆる「学位工場(diploma mills)」の誕生や大学法人が提供する公教育サービスの劣化を防いでいるとの重い指摘もある。機関補助から教育バウチャー(利用者補助)の制度に転換したところで、アメリカ・コロラド州での“試行”結果を見る限りでは、国家の教育予算の削減だけが独り歩きするおそれも強い。加えて、大学教育バウチャーの対する新たな政府規制が出てくるおそれも強く、大学バウチャー導入への明確な理念や展望を描ける確信はない。

《論文内容目次》
はじめに
I 大学運営資金調達方法の推移
1 依存する大学運営資金からみた分類
2 わが国での大学運営資金調達方法の変遷
II 私立大学財務の現状分析
1 学校法人と私立大学との基本的な法的関係
2 学校法人と大学(学校)の運営、学校法人の会計/財務の基本
3 学校法人会計制度の基本
4 私立大学の平均的な財務状況の分析
(1) 私立大学の帰属収入の推移
(2) 私立大学の消費支出の推移
III 私立大学の運営資金調達源の多様化の課題
1 市場経済を活用し、高等教育無償化の理念の資する私大運営に向けて
(1) 私大の実例分析
(2) デットファイナンス活用の可能性
(3) 資産運用や収益事業の可能性
 (a) 学校法人の収益事業用資産に対する政府規制
 (b) 学校法人の資金/金融資産運用に対する政府規制
 (c) アメリカにおける大学法人の資産運用と慎重人原則の展開
(4) 寄附金収入確保の課題
2 市場主義、政府規制緩和時代における「公教育」を担保する仕組みのあり方
3 大学運営資金調達における「納入金負担者」の法的所在
IV私学助成(補助金)法制の基本
1 私学補助金の分類
2 私学補助金にかかる準拠法令等(文科省関係)
3 経常費補助金とは
4 施設・装備・設備整備費補助金とは
5 私立大学等の経常費補助金(一般補助・特別補助)額の推移
6 補助金の減額・不交付の仕組み
7 経常費補助金の減額法人一覧
8 私学助成(補助金)にかかる公的規制/監督の構図
(1) 私立学校法、私学助成法と補助金適正化法による私学補助金規制/監督
(2) 会計検査院などによる私学補助金規制/監督
(3) その他の私学補助金規制/調査
(4) 納税者による法的統制の可能性
V 私立大学運営と税制上の措置と課題
1 現行の学校法人に対する主な税制上の支援措置
2 学校法人、ステークホールダーへの所得課税上の支援措置強化の課題
3 税制における国公立・私立イコールフティング(競争条件の均等化)の課題
4 寄附金税制のあり方
5 消費課税上の支援措置の見直し~ゼロ税率採用の是非
6 資産課税上の支援措置の適正化
VI 機関補助から利用者補助への転換を問う
1 機関補助から教育バウチャーへの転換を検証する
2 アメリカでの大学教育バウチャーへの転換実例
(1) コロラド州の大学教育利用者支援制度の対象となる大学
(2) コロラド州の大学教育利用者支援制度のあらまし
(3) COF奨学給付額の推移
(4) COF奨学給付制度導入時の在籍者への調整措置
(5) コロラド州の大学教育利用者支援手続のあらまし
(6) コロラド州が利用者補助の仕組みに転換した背景
(7) 州内の公立大学を「企業体」に指定することの意味
(8) 州内の公立大学が「企業体」指定を受けた場合の影響
3 わが国での大学教育バウチャーへの転換イメージ
4 大学教育バウチャーへの評価
むすび